2017年6月9日金曜日

「ワニと猫とかっぱそれから……」花編

書名:ワニと猫とかっぱそれから……
著者名:花
出版社:神戸新聞総合出版センター
好きな場所1:休みなんかいりません。今日をかぎりに、をやめさせてください。(P62 「んの反乱」森くま堂)
好きな場所2:ここに両親と住んでいたんです。けれど、二十二年前の地しんで母がぎせいになったんです。(p170 「そばにいるよ」うたかいずみ)

ひとこと:関西の児童文学同人の会「花」が創立二十五周年を記念して、アンソロジーを出版されました。
 引用のように阪神淡路大震災から二十二年も経つのですね。「花」の同人の方もお一人亡くなったと伺っています。きっとみなさんそのことを忘れないで、書き続けられてこられたのでしょう。
 アンソロジーを作るのはなかなか大変で、書き手には書き手なりに自分の経験や好みからくるそれぞれの意見がありますから、まとめるのはご苦労だったこととお察しします。でもできたらうれしいですよね。おめでとうございました!
 これからもますますのご健筆をお祈りします。

内容は
「すて猫 反対!」 かねこかずこ
「ワッチョ」なかはらなおこ
「まぼろしの花「シチダンカ」」石垣文子
の反乱」森くま堂
「ムカシトンボの谷」滝まゆ美
「蛸」香山悦子
「かっぱのプポ」エイ子ワダ
「ハロウィーンナイト」工藤葉子
「ぼくのおかあさんは魔女です」西村さとみ
「雪だるまとくらす方法」岡村佳奈
「そばにいるよ」うたかいずみ

 

2017年6月3日土曜日

衣川第三回

雑誌『児童文芸』2017年6・7月号に拙作「衣川 十二歳の刺客」の三回目が掲載されております。絵は森川泉さんです。六回のうちの三回、いよいよ折り返し点まで来ました。


今回は、義経の息子と、主人公さよが馬で駆け競べをします。


2017年5月17日水曜日

「空き店舗(幽霊つき)あります」ささきかつお

書名:空き店舗(幽霊つき)あります
著者名:ささきかつお
出版社:幻冬舎文庫
好きな場所:この店には一万冊くらいの古い本があるんだけど、これってつまり一万人の人が書いて、一万人の人が読んだってことだよね。
所在ページ:p24
ひとこと:ささきありさんと、ささきかつおさんは、「AERA」の「はたらく夫婦カンケイ」にもとりあげられたことのある作家ご夫妻です。
 奥様のささきありさんは、児童文学者で2016年『おならくらげ』(フレーベル館)で第27回ひろすけ童話賞を受賞されており、旦那様のささきかつおさんは書評家でもあり、小説家でもあり、2015年に「第5回ポプラズッコケ文学新人賞」大賞を受賞されています。
 お二人についてはこちらささきありさんのブログが詳しいです。
 http://sasakiari.com/about-ari.html

 このご本はささきかつおさんの新刊、一般書のミステリー(ほろっとする「ほろミス」)アンソロジーです。
 手に取ってみたくなる魅力的なタイトルです。
  


 東京は武蔵小金井にある築五十年のビル「スカイカーサ武蔵小金井」は、幽霊が出るといううわさのおかげで、借り手がいなくなり、全フロアが半年以上も空き店舗となってしまいました。オーナーは一計を案じます。賃貸のバーゲンセール。つまり「幽霊つき」という条件で、賃料を半額にしたのです。
 この条件を了承済みの借り手が次々と店を開きます。
 引用は古本屋を開いた若者、一ノ瀬達也のお話です。ほんと、本が一万冊あったら、延べ一万人が書いて延べ一万人が読んだんですよね。わたしもいつもそう思います。
 他にもカフェ、ヘアサロン、法律事務所などがあり、それぞれの店主の人生があります。
 で、幽霊はなぜ出るんでしょう?
 ぜひお読みくださいませ。
 

 
 

2017年5月15日月曜日

「ぼく、ちきゅうかんさつたい」松本聰美

書名:ぼく、ちきゅうかんさつたい
著者名:松本聰美
出版社:出版ワークス
好きな場所:「わるものだよね。やっつけちゃう?」
ぼくは、パンチのまねをした。
「まてまて。もうすこしかんさつをつづけよう」
所在ページ:p18
ひとこと:トモヤはおじいちゃんとちきゅうかんさつたいごっこをしています。おじいちゃんがたいちょうで、トモヤはたいいん一号です。犬のらんまるはたいいん二号で、まいにちやってくるくもがたいいん三号です。
びょうきでベッドの上にいるおじいちゃんに報告するために、トモヤは毎日、いろんなことを発見してくるのです。引用はクラスの乱暴なダイちゃんのこと。やっつけようというトモヤに、たいちょうのおじいちゃんは、かんさつの継続を命じます。そのうちおじいちゃんは入院しますが……


レイチェル・カーソンの研究者で『センス・オブ・ワンダー』(新潮社)の訳者の上遠恵子さんと、生命科学の中村桂子さんの推薦文がついています。
このお話がすてきなお話で、決して悲しくない理由はこの推薦文でわかります。

特設サイトはこちらです。
http://www.spn-works.com/kansatsutai/index.html

2017年5月9日火曜日

「さんぼんぼうってなんだろな」高橋秀雄

書名:さんぼんぼうってなんだろな
著者名:高橋秀雄
出版社:鈴木出版
好きな場所:なにもたべられないなつみがしんぱいです
所在ページ:P1
ひとこと:リアリズムの雄、お手本の高橋秀雄さんが、「こどものくに ひまわり版 6月号」に幼年もののリアリズムをお書きになりました。

いもうとのなつみが熱を出して寝ています。なにか食べたいのと聞くと、さんぼんぼうと答えます。なんとか、さんぼんぼうを食べさしてやりたい。そんな気持ちでいっしょうけんめいに動き始める主人公でしたが……。

さすが、季節風の事務局長、いっしょうけんめいの女の子をお書きになったら、ほんとうに参りましたと申しあげるしかない高橋さんです。私が好きなのはこうもり傘がほしいばっかりにお祭りで踊る女の子の話なんですが、この子も同じぐらいいっしょうけんめいで好きです。一行に要約できるようなエピソードなのに、ちゃんと読ませる。いっしょうけんめいが伝わってくる。脱帽です。勉強させていただきました。ハードカバーになると良いな。







2017年5月1日月曜日

「あめあがりのかさおばけ」増刷です




拙著『あめあがりのかさおばけ』(岩崎書店)が、重版というお知らせをいただきました。国松俊英先生ご編集「はじめてよむこわ~い話」シリーズの一冊です。はじめて自力で本を読むお子さん向けのあんまりこわくないでもこわいお話のシリーズです。

『あめあがりのかさおばけ』には透明ビニール傘のおばけツカイ・ステーが出てきます。足にはスポーツサンダルを履いている大変現代的なおばけですが、とても折り目正しいやつです。お読みいただければうれしいです。

2017年4月26日水曜日

「あぐり☆サイエンスクラブ 春」堀米薫


書名:あぐり☆サイエンスクラブ 春 まさかの田んぼクラブ!?
著者名:堀米薫
出版社:新日本出版社
好きな場所:「もちろん、科学体験クラブです」
「先生の言っている意味が、よくわかりませんが」
 あぐり先生は、両ひざの上にぐっとこぶしを握ると、春香さんの目をまっすぐに見つめながら、きっぱりと言いきった。
「農業は、科学だからです!」
所在ページ:p133
ひとこと:五年生の学は、できのよいお兄ちゃんと違って、中学受験はあきらめている。だが、塾には通っていて、塾で高校生を教えている藤原あぐりという先生が募集しているあぐり☆サイエンスクラブに、親に相談せずに申し込んでしまった。
 怒られるとおもいきや、勉強をもっとがんばるという約束と引きかえに、行っていいという許可をもらう。
 送り迎え付きというクラブだが、あぐり先生のワゴン車に乗って、連れてゆかれたのは田んぼだった。

 宮城で和牛肥育と水稲栽培、林業を営んでおられる堀米薫さんは、農業と東北に関してたくさんのフィクション、ノンフィクションを書いておられます。
 今度のこの本もその一環で、農業と科学のつながりに焦点を当ててわかりやすく描いたフィクションです。でも、それだけではなくて、田んぼにまつわる伝説や、料理、そしてそれを取り巻く人々も描いています。きっと農業体験をしにくる都会のお子さんたちを受け入れておられるご経験によるのかなと思います。農業体験をする機会がなくても、きっとこの本で、その魅力の一端に触れることができるでしょう。