2011年5月5日木曜日

「じゅんばんこ!」季巳明代

書名:「じゅんばんこ!」
著者名:季巳明代
出版社:フレーベル館
好きな場所:さくらこちゃんといっしょにねむりたいんだもん
所在ページ:29
ひとこと:キンダーおはなしえほん2011年5月号です。
 さくらこちゃんは、ねんちょうぐみさんになって、ひとりで寝ると宣言しました。
 そういえばうちの子どもたちも、ひとりで寝るようになったのは、それぞれ違いますが、だいたいこのころだったでしょうか。でもこのおはなしは、さくらこちゃんがやっぱりひとりでは寝られないえーんえーんと泣き、がんばって寝られるようになるというような展開はしません。そこが季巳さんのすごいところ。このページの前26ページにある絵、うわあっとうれしくなりました。きっと読んであげるおかあさんがたもうれしくなることでしょう。
 季巳さんは、長いこと保育現場におられた方。たくさんの子どもたちの前に出て、はいっという一声でぱっと視線を奪うという技術を身につけておられます。読み語りも毎日毎日、何千回、いや何万回もやっていらしたにちがいありません。子どもは正直、ちょっとでもおもしろくなかったり、緊張を欠いたりすれば、すぐにざわざわうろうろとしはじめます。天井桟敷のブーイングよりよっぽどシビアです。
 そういう中で鍛えてこられた方ですから、ああ、ここはきっとしーんとして子どもが聞くだろうなあとか、わあと歓声があがるだろうなとか、「せんせ、よかったね」と口々にいうだろうなということが、一枚一枚想像できるような、そんな絵本になっているのです。