2016年11月19日土曜日

「4年2組がやってきた」野村一秋

書名:4年2組がやってきた
著者名:野村一秋
出版社:くもん出版
好きな場所:マラカスとすずも、ぼくひとりじゃできない。だれかに手をもってもらわないと鳴らせない。
そんなのはいやだ。
ぼくがやりたいのは、ツリーチャイム。これならひとりでできるから。自分の力で鳴らしたいんだ。
しゃべれたら、そういうのに。
ツリーチャイムを見てたら、なみだが出てきた。
所在ページ:p43
ひとこと:『ミルクが、にゅういんしたって?!』(くもん出版)で、第一回児童文芸幼年文学賞を受賞された野村一秋さんの中学年以上向けの物語です。

マーくんは、5年にじ組です。にじ組にはマーくんしかいません。マーくんは脳性麻痺で、しゃべれないしあるけない、手も動かせず、給食もトイレもひとりでは無理です。
そのマーくんのいるにじ組に、週に一回4年2組の子たちがやってきて交流することになりました。
そして、授業参観日にマーくんといっしょにスマイルアトラクションという催しをすることになったのです。
4年2組のみんなは、マーくんといっしょにできそうなことをいろいろ考えてくるのですが、マーくんは緊張すると手が動かなくなります。それに、引用のようにマーくんにもやりたいこととそうでないことがあって……でも4年2組のみんなは知恵をしぼってがんばります。

あとがきでわかりますが、このラストは実話で、野村さんの奥様が担任をされていた特別支援学級で実際に4年生の生徒さんとの交流会の最後に起きたできごとだったそうです。野村さんが奥様に、感動的なできごとがあったので、ぜひお話にしてと頼まれて書かれたというだけに、もちろん創作を交えてあるそうですが、とっても心にしみます。マーくんの立場から、正直に書かれていることが、押しつけでないとってもやさしい物語になっているポイントだと思いました。