2017年3月20日月曜日

「ニュートリノの謎を解いた梶田隆章物語」山本省三

書名: ニュートリノの謎を解いた梶田隆章物語
著者名:山本省三
出版社:PHP研究所
好きな場所:わたしは科学者なので運は信じません。ただし、優れた研究者は、訪れたチャンスを逃しません。常に備えがあるのです。小柴先生はその最たる方なのだと思います。
所在ページ:P93
ひとこと:2015年のノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章さんの伝記です。
物理学……難しいという頭がありますので、なんだか偉い方というだけでわけがわからないという気持ちがあると思います(私もです。高校時代物理は赤点すれすれでした。)。
しかしこの本は、そんな私でも読めます。なぜならば著者が「はじめに」で述べているように、「あまりに難しい部分は省き、なるべくわかりやすく説明することに努めました。ですから、ニュートリノに関しても、科学的にくわしく解説するより、そのようなものかとわかってもらえる範囲で書きました。」ということで、この本には物理学の難しいことは書いてありません。ニュートリノの各種や、その変化については、画家でもある著者の手によるわかりやすいイラストがついています。

それにしても引用のように、優れた研究者に対する梶田さんの見解には、どの世界もいっしょなんだなあと普遍的な人生哲学を感じます。確かに運の良いひとはうらやましいですが、それは実は運ではない。日々の備えなのですね。