書名:オオカミを森へ
著者名:キャサリン・ランデル
翻訳者名:原田勝
出版社:小峰書店
好きな場所:ママは北側の建物よ!
所在ページ:p278
ひとこと:著者のキャサリン・ランデルさんは、1987年生まれとのこと。オックスフォードの大学院在学中ということで、お若いですね~~。イギリスで多くの賞を受賞された新星で、ウォーターストーン児童文学賞を受けられた別の作品も小峰書店から刊行予定とのことです。
お父さんが外交官でアフリカはジンバブエ育ちということで、巻末の解説によれば、この本の舞台はロシアなものの、主人公の女の子フェオと母の仕事、飼い慣らされたペットのオオカミを森に戻す「オオカミ預かり人」は、ジンバブエに実在するペットにされたライオンを野生に戻す仕事などを参考に創作されたとのことです。
その設定を前提に読むと、これは動物保護の物語であり、冒険物語です。帝政ロシア時代、帝都サンクトペテルブルク近くの森で、オオカミ預かり人をしているフェオと母のところに将軍がやってきます。オオカミを森に返すということがいけないというのです。母は捕らえられ、サンクトペテルブルクの刑務所に入れられます。その後おそらくシベリヤへ送られるのです。フェオはサンクトペテルブルクに母を助けに行こうと決心します。フェオの味方は、オオカミです……。
さあ、どうなるでしょうか。
装丁と版画風の挿絵がとってもすてきです。
森に出る動物のイメージは日本は狐なら、ヨーロッパではオオカミだと勉強会で伺ったことがあります。帝制ロシア時代にこういう職業があったというフィクションの作り方は大胆で、とっても勉強になりました。