2018年2月14日水曜日

「火のカッパ」うるしばらともよし

書名:火のカッパ
著者名:うるしばらともよし
出版社:国土社
好きな場所:こころの なかに うつるんだよ カッパがね……
所在ページ:p12
ひとこと:浅草のかんのんさまの近くに住むゲンタは、忙しいお父さんお母さんの代わりにおばあちゃんに相手をしてもらいながら育ちます。浅草にはカッパの伝説があり、おばあちゃんはそれをいろいろ聞かせてくれます。おばあちゃんは、人の中にカッパが紛れていて、悪いことをする人はいないかと見ているのだと言う。そして自分には、カッパが見えると言うのです。
 そのうち、戦争が始まり、浅草は大空襲に見舞われることになるのですが……。



この主人公と同じく浅草育ちの作者は「悪さをするとカッパがきて隅田川に連れていかれるぞ」と言われて育ったそうです。東京大空襲で孤児となられ、のちに作家となってからは、ずっと東京大空襲を描き続け、風化させない運動をされています。

浅草のカッパ伝説というのは、前に河童寺につれて行っていただいたときに知りました。巻物があって、カッパがつるはしをふるって河川改修工事をしている図が描いてありました。カッパは悪い人を見はるものでもあり、人を助けてくれるものでもあったのですね。

「ほのおがカッパに見えた」という主人公の言葉どおりの炎となったカッパの絵に迫力があります(え・やまなかももこ)